Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans
幻覚であったか、そう思いかえしたとき、うおーん、たしかに前方に聞えた。吠える音はよほど近よっていたが、まだ方角は分らなかった。灰色のうす明りは灰色の野山をけじめもなく包んでいた。それから、声は谺するように友を呼んだ。しかも呼び交しながらこちらに近よっていた。
ひ熊もいる、狼もいる!――そう云った戸田老人の言葉が、いきいきと甦った。ぞッと怖毛だつものがあった。それを聞いたのは夏だ。家中が隊を組んで道普請していたときのことだ。だのに、それに出会わなければならぬのは今である。雪に踏み迷ったこの曠野のなかに独りいるときだ。たった一人の道連れを、その餌に供えているような困窮した場合であった。
彼は疲労も空腹も忘れた。げだものの跫音は雪の上にそくそく鳴っているような気がした。
彼は穴にかえった。鋸屋の鋸を取りだした。吹きかたまった雪につきさした。歯を外に向けて砦にした。脇差を抜いて身構えた。
彼は見つめた。
風はふッと、いつか、おどろくほど突然に落ちていた。そして夜が明けていた。曠野は明るみにさらされた。
どこか遠く――ほの青い煙のようなものが目にはいった。