Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Lisez 石狩川 (いしかりがわ) de 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 253 535 caractères · 506 écrans

Aozora Bunko

二人の子供が彼女の左右に取りすがった。

「お出かけか?」と阿賀妻はまた云った。主人の在不在をたずねていたのだ。今日の首尾を告げて喜ばしてやりたいと思い、深くも考えず通りがかりに呼びかけたのであった。しかし、その女房には気軽に返事も出来ないらしい――闇のなかに在る声の主を見据えていた。

「阿賀妻じゃが――」と彼は名乗った。

「あああなたはご家老さまでしたか」

そう云って彼女は子供をつき退けた。ぴたりと正座して、その窓に対って低頭した。子供も母親に見ならうのだ。親たちの気持を素直に反射して、そこに手をついて眼を俯せた。焚火のあかりを半顔に受け、莚敷きのゆかの上でなされるこの慇懃な挨拶は、阿賀妻の眼を湿ましていた。子供をひき連れた母親であったから尚いけなかった。

「いや、お騒がせして相済まぬ」

「はい」と彼女は答えた、「――夕刻から、お館さまにまいっておりました」

「すまぬ、すまぬ――」と繰りかえして彼はそこを足ばやに離れた。

これほど生活は一変していても、日々の儀礼や感じ方には些さかの変化も見えなかった。人もそれに不審を抱かず、各自もそれを当然としているのであろう。