Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つぶてしんじゅう

礫心中

野村 胡堂

Lisez 礫心中 (つぶてしんじゅう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 190 caractères · 28 écrans

Aozora Bunko

差し覗くと、月明りのせいもあったでしょう、真っ蒼な顔、

「どうしたんだお豊」

「私にも解らない」

「尤もだよ、江戸で十本の指に折られた大分限が、御改革のお蔭で半歳経たぬうちに身上を仕舞い、父親は入牢、姉さんは自害、たった一人の母親にまで死に別れたんだもの――」

「…………」

「だがなお豊、不運はお前ばかりじゃない、絵草紙、錦絵は御法度、彫職の俺などは上ったりだ、元の植木屋に返ったところで、ろくな仕事があるわけは無し、明日から何をして行けば宜いか、見当も付かない始末よ、親の代からの借金は山程あるし、――俺はもう死んでしまい度い」

彫物師の要次郎はお豊に劣らず気が挫けて居りました。

「要さん」

「一緒に死んでくれないか、お豊」

「要さん」

お豊は犇と、要次郎に縋り付きました。名月を見る人も無い橋の上に、二人はもう、死ぬ事より外には考えて居なかったのです。

「天とう様が、何んだって斯う俺達に祟るんだろうなア」

「おや?」

「役人方の見廻りだよ、月見船でも出す者は無いかと、鵜の目鷹の目さ」

河岸の騒ぎ――、あわただしい人の足音を遠く聞いて、要次郎は苦笑を漏しました。

「要さん、父さんを牢へ入れたのも、身上を仕舞わせたのも、天とう様のせいだろうか」