Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lisez 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 416 caractères · 53 écrans

Aozora Bunko

一

一

梅雨にはいる少しまえ、保本登は自分から医員用の上衣を着るようになった。薄鼠色に染めた木綿の筒袖と、たっつけに似たその袴とは、よく糊がきいてごわごわしており、初めて着たときには、人にじろじろ見られるようでかなり気まりが悪かった。

新出去定と森半太夫は黙っていたし、彼が上衣を着はじめたということにさえ、気づかないふりをしていた。他の医員たちも口ではなにも云わなかったが、彼を見るたびに皮肉な眼つきをしたり、唇にうす笑いをうかべたりするのが認められた。――こういう中で一人だけ、彼のためによろこび、それを正直に口に出して云った者がいた。それは台所で働いている、お雪という娘であった。お雪は登が上衣を着ているのを見るなり、まあと手を打ち合わせ、顔じゅうでこぼれるように微笑した。

「ようやく上衣をお召しなさいましたのね、よかったこと」とお雪は云った、「これでやっとあたしの勝ちになりましたわ」

「おまえの勝ちだって」登は訝しそうに訊いた、「誰かと賭けてでもいたのか」

「ええ」お雪はちょっと狼狽しながら、巧みに微笑でそれをつくろった、「賭けたといえば賭けたんですけれど、あたし保本先生がそういうお気持になって下さるようにって、願っていたんですの」