Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
百までも生きて貰いたいと思いましたよ」
伊太郎はあわてて自分に振りかかりそうな疑いを払いのけました。
「伊勢新が水へ落ちた時お前はどこに居たんだ」
「釣の邪魔になるからと言って、二つ目に置いた舟の迎えに行って、船頭の文次と二人で漕いで材木置場の方へ来ていましたよ。すると、二三十間先の材木置場で、女の声がして」
「待ってくれ――女の声を聞いたのは、その時が始めてか」
「ヘエ、――暗くなりかけて、よくは解りませんでしたが、材木置場には女が二人、何か大騒ぎをしている様子でした」
「それから」
「びっくりして漕いでいくと、――旦那が――旦那が――と川を指しているから、大急ぎで五六間のところへ行くと、人間が一人プカプカ浮いたり沈んだりしているじゃありませんか」
「…………」
「二人がかりで引揚げてみると、それが伊勢屋の旦那で――水に落ちただけなら、伊勢生れの旦那は泳げるはずですが、あんなに喉を突かれちゃ助かりっこはありません」
「それでも何か言ったか」
「介抱すると、たった一と言、――金の鯉――と言ったようですが」
「金の鯉?」
平次はくり返しました。
「それっきり息を引取って、誰が殺したか少しも解りません」