Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
安倍川がなくては調べようがありません。
「でも、妙にほろ苦い安倍川でございましたよ。あんまり沢山食わなかったので、命拾いをしたのでしょう、ヘエ」
「それにしては達者じゃないか、毒などを食わされた人間のようじゃないが――」
「二度ばかり通じが付くと、ケロリと直ってしまいました。おさの姐さんも同じことだそうで」
「大黄かな?」
平次は首を捻りました。曲者は酒を呑まない二人を遠ざけるために、安倍川へ大黄を混入して、下痢を催さしたと考えられないこともありません。砂糖を入れた大黄を、黄粉のつもりでしたたかに呑んだだけなら、二三度通じが付いて、あとはケロリとしているのもありそうなことです。
「――でしょうかな、親分さん」
理八はまだ腑に落ちない顔をします。
「ところで、伊勢屋新六を怨んでいる女は誰だろう?」
「江戸中の女の百人に一人くらいは怨んでいますよ、――何しろ金があって薄情で、男がよくて、口前がうまくて、浮気で、箒で、ケチと来ているんで」
「…………」
あまりの痛罵に平次は呆気に取られました。ツイ先刻までは、伊勢新の腰へダニのように喰い付いていた男です。死んで、もう一文にもならないとみると、この男の毒舌には全く遠慮がありません。