Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
「そうだろう」
平次は近頃すっかり憂鬱でした。お紋のところからは三日に一度ぐらいずつ誘い出しの手紙が来ますが、あの晩の縮尻以来家に籠って考え事ばかりしていたのです。
親分思いのガラッ八は、すっかり心配して、お静と心を協せていろいろ慰めもし、励ましもしましたが、平次は頭を振るだけで、一向相手にもならなかったのです。
そのうちに、高木銀次郎の長屋の天井裏から三つ葉葵の紋を散らした短刀の鞘が現れて、徳川の禄を食む役人達の神経をすっかり尖らせてしまいました。
平次が曲者から剥いだ羽織は、紛れもなく高木銀次郎のものと解った上、家捜しをしてみると、幻の民五郎が諸方から盗んだ品――現金以外は滅多に手をかけない民五郎でしたが――財布や胴巻や金入れといったようなものや、荻野左仲の食客に似気ない大金が、床下、押入の奥などからぞくぞく現れてきたのです。
大塚の重三はすっかり得意でしたが、肝腎の高木銀次郎は、骨が舎利になっても白状しません。
「八、もう一度運試しにやってみようと思うが、どうだろう」
「有難い、親分がその気なら、あっしは命を投出しますぜ」
「一か、八か、――とにかく、もう一度やってみなきゃア、俺には腑に落ちない事ばかりだ」