Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans
「と、あれは下手人が匕首で刺した手を洗って拭いたものに違いないわけだ」
「まア、そんな事で」
近く寄ってみましたが、それ以上は何にも判りません。
「恐ろしく落着いた奴だな。勘次やお辰の芸じゃない。雨戸を開けて手を洗って、済ましていたんだ」
「雨戸にも血が付いちゃいませんか」
ガラッ八は飛付くように雨戸をしらべましたが、よほど用心深く開けたものと見えて、そこにも何の痕もありません。
「待て待て、主人の殺されたのは、お辰が悲鳴を挙げて、お柳と勘次が鉢合わせをするまでの間だ。――その間仏間の裏の廊下へ行ける人間は――」
「…………」
「解った、八」
「え?」
「お村だ」
「お村は自分の部屋で休んでいたと言ったじゃありませんか」
「嘘だ」
「お村の様子も顔色も、朝から夜まで少しも変らなかったというのは?」
「お村は、主人の生きている事を知っても、お柳と違って様子や顔色を変える女じゃない。頭痛がすると言って奥へ引込んで用意をし、お辰の悲鳴を聞いて、物蔭から飛出して孫右衛門を刺したんだ」
「でも」
「いや、他に人間は居ない。お辰か勘次かお村のうちだ。――女では幽霊を刺せまいと思ったのも間違いだったが、孫右衛門が生きているのを見たら、少しは様子や顔色が変るだろうと思ったのが第一の間違いだ」