Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 062 caractères · 276 écrans

Aozora Bunko

またこの競争相手――三輪の万七――が出て来ては、事件がかえってこんがらかりそうでならなかったのです。

「大層遠慮するじゃないか、銭形の。何だって大黒屋の主人を縛らないんだ。いつぞや浜町の浪花屋がやった術だ、今日に迫った五千両の工面に困って、番頭を人身御供に上げて一時逃れをするつもりだろう」

「それは違う、三輪の。あの術はもうこの界隈で二度とくり返す馬鹿はあるまい」

「そう思うところが付け目さ」

「それに大黒屋の身上は、三千両五千両で困るほどに傾いちゃいない。差当り現金を集めるのに困ったところで、昼頃までには、市兵衛はきっと五千両拵えるから」

「大層信用したんだね」

「見ているがいい、今相棒を一人縛って来たから、あの男が口を割りさえすれば、五千両盗んだ奴も、番頭の正次郎殺しもすぐ判る」

平次は河童の塩漬の中にも、香具師の懐中にも小判の片らも見えないとすれば、早くもどこかへ隠したか、でなければ、横合から五千両を攫われて、自棄のやん八で国府と濁酒に贅を尽していたのだと睨んだのです。

「名前は何と言う、どこの者だ」

ガラッ八の引いて来た香具師夫婦を、平次は静かに迎えて、こう訊ねました。