Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

ちょいとやってくれ」

「親分が書きゃアいいでしょう」

「俺の字じゃ納まらない事があるんだ」

鼻紙を一枚、念入りに皺を拵えて、ガラッ八の膝の下に置くと、禿筆へたっぷり墨汁を含ませて、嫌がる手に持たせました。

「親分、勘弁してください。字を書くくらいなら、どんな使いでもしますよ」

「馬鹿、使い走りの利かないところだ、それも上手が書いちゃ役に立たねえ、思い切り下手な字でねえと――」

「下手な字が入用なんで、あっしに書けと言うんですかい」

「早く言えばその通りだ、腹を立てるな八、江戸っ子は手習いの事や金の事で腹を立てちゃみっともないよ」

「呆れたもんだ、書きますよ、何と書きゃ、いいんで」

「こうだ、〈十両はたしかに受取った、もう百両要るから、前の場所へ入れておけ、見張りを付けると、子供の命はねえぞ〉とそれだけでいい」

「驚いたね、親分、こんな手紙をどうするんで」

「拙い字だなア、よしよし、その拙いところがいいんだよ、――ところで、その手紙を、金座の石井の店へ投り込むんだ、ついでにやってくれ」

銭形平次は手軽に言いますが、ガラッ八の方は驚きました。

「そんな事をしていいんですか、親分」