Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans

Aozora Bunko

八五郎へはポンポン言いましたが、せめて三日前に乗出して、伊之助を警戒していたら、命までは奪られずに済んだかも知れない――といった淡い悔恨がチクチク胸に喰い込むのです。

――よしッ、あの娘のために、一と肌脱いで、敵を討ってやろう――

大根畑の伊之助の家へ着く頃までには、何遍も、何遍も、自分へそう言い聞かせているのでした。

伊之助は少し変り者で、あまり付き合いがなかったものか、この騒ぎの中にも、集まっているのはほんの五六人、叔母のお村が采配を揮って、どうやらこうやら、遺骸を奥へ移したところです。

奥といったところで、たった二た間の狭い家、手習い机の上に線香と水を並べて、伊之助の死骸は、その前に転がしたというだけのことです。

「親分さん、この通りの姿になりました。敵を討って下さい」

気象者らしいお北も、急にこの世へたった一人残されたと判ったように、沁々と涙をこぼしました。

冠せた半纏を取ると、後ろから袈裟掛に斬られた伊之助は、たった一刀の下に死んだらしく、蘇芳を浴びたようになっております。

「凄い手際ですね、親分」

ガラッ八は後ろから首を長くしました。

「据物斬の名人だろう。