Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans
彼は総理大臣になったかもしれないが、私にとってはただの芦田君で、逢えばお前仕掛で話すのも、旧友の誼みというものだろう。
もっとも芦田君は、ある文学者の会合で、チェホフについて蘊蓄を傾け、三十分以上も論じたという、文学好き政治家としての記録保持者である。その時の拝聴者たちは、随分当てられた様子であり、にがにがしがったロシア文学の専門家もあったらしいが、ともかく文筆で御飯を頂戴している数百人の前で、三十分に及ぶチェホフ論をブチまけるというのは、一知半解の老文学青年ではできることではない。そうだったからといってそれだからなどと、芦田内閣の領分に因果づけてはいけない。
ある座で芦田君は私を紹介したことがある。曰く「野村君の銭形平次を、私はかつて読まないが、私の家内は非常に愛読している様子である」と――まことに有難いことである。挂冠首相芦田均君に読んで貰うより、私はまだ、かけ違ってお目にかかったことはないが、有名な美人――現代政治家の夫人としては、並ぶものなしといわれる、芦田夫人に愛読して貰う方が、どんなに有難いかわからないのである。
だが、芦田君が、もう少し政治家的俗才があったならば、夫人が読んでいるのを、暫く失敬して「私が愛読している」