Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 142 597 caractères · 289 écrans
「眼隠し鬼は手で捜って当てるのが本当じゃないか。匂いを嗅いで当てるなんて、犬じゃあるまいし――私はそんな事で鬼になるのは嫌だよ」
伴三郎はツイと身をかわして、意地の悪い微笑を浮べております。
これは三十そこそこ、金があって、年が若くて、男がよくて、蔵前切っての名物男でした。本人は大通中の大通のような心持でいるのですが、金持の独りっ子らしく育っている上に、人の意見の口を塞ぐ程度に才智が廻るので、番頭達も、親類方も、その僭上ぶりを苦々しく思いながら、黙って眺めているといった、不安定な空気の中にいる伴三郎だったのです。
「あら、旦那、そんな事ってありませんワ」
お勢は少し面喰らいました。
「でも、俺は匂いを嗅ぎ出されて鬼になるなんか真っ平だよ」
「それじゃ、もういちど鬼定めをしようか、その方が早いぞ」
白旗直八は如才なく仲裁説を出しました。昔は板倉屋の札旦那の倅でしたが、道楽が嵩じて勘当され、今では伴三郎の用心棒にもなれば、太鼓も打つといった御家人崩れの、これも三十男です。
「それがいい、それがいい」
雛妓や、若い芸妓達――力に逆らわないように慣らされている女達――は、こう艶かしい合唱を響かせました。