Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 244 caractères · 231 écrans
よくよく運のないことでございます」
松蔵はそのまま大地にのめり込みそうに、肩を落して洟をすするのです。
「そんなに気を落したものじゃあるまいよ。土は日本国中どこの土も同じことじゃないか」
八五郎はツイお座なりを言いました。
「…………」
黙って頭を振る松蔵。
「ところで、倅の松太郎はどうしているんだ」
ガラッ八は照れ隠しらしく訊きました。
「根岸で叩き大工の真似事をしているという噂でございます」
「ここへ来ることがあるのか」
「もう一年も顔を見せません。娘のお美代が売られて行く時だって人伝に教えてやったのに、逢いにも来ない奴でございます」
松蔵の顔には、頑なな親らしい怒りが燃えました。
「そいつは薄情だな」
「そればかりじゃございません。こんなみじめな目に逢うのも、もとはあの野郎がやくざ仲間に入って手弄みなどをしたから起ったことなのに、一言の詫でも言うことか、近頃は身まで売った妹のところへ、ノメノメと無心に行くそうでございます。逢ったら叩きのめして、思い知らせてやろうと思いますが――」
松蔵の怒りは際限もなく発展しますが、それが少しばかり滑稽に、そして物哀れにさえ見えるのでした。