Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 114 139 caractères · 233 écrans
菊坂の富五郎とその下っ引達、町役人まで顔を揃え、群がる野次馬を追い散らしておりましたが、平次の顔を見ると、富五郎はホッとした様子です。五人の子供のうち一人は殺され、四人はそれっきり行方不明で、次第に募る町内の非難やら、八丁堀のお叱りやらで、つくづく気が滅入っていたのでしょう。
「お、銭形の、この通りだ」
「どれどれ、恐ろしく出来た腕だ」
平次は死骸を引起して舌を巻きました。
「権次はやくざ付合いをして、評判の悪い男だった。なんか盆茣蓙の間違いじゃあるまいか」
富五郎はそんな事を考えているのです。
「いや違う、富五郎兄哥の前だが――この手ぎわを見てくれ。やくざ剣術は刀を引きながら斬るから、傷口は手前が下がる、まして権次は逃げるところを後ろからやられたんだ、相手がやくざ者なら背中の方がもっと割けているはずだ、――ところが、権次は背後から斬られているくせに、切先が胸の方へ下がっている、これは据物斬りの名人の腕前だ。突っ込むように、前下がりに斬った傷だ」
据物斬りの口伝を平次は聴き覚えていたのです。武士は突き出すように斬り、やくざは引きながら斬る。剣道にはこの二つの型――画然たる上品下品の型のあることを平次は思い出したのでした。