Classiques japonais avec furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lisez 雪国の春 (ゆきぐにのはる) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 136 000 caractères · 266 écrans
と題する小著をもって、これを研究してみたことがある。非常な古狐で、その証拠にはおとらが人につくと、その人は必ず長篠の合戦の光景を見ていたように話する。それでたちまち彼なることが知れるのであった。また長篠だけならまだよいが、ずっと離れた川中島の合戦まで話して聴かせる。しかもこの合戦談の大部分は、どうも『甲陽軍鑑』のでたらめであって、実はなかった事らしいというような説もあるのである。それにおとら狐は川中島にいたとき、うっかりとして流れ弾に当たり、片目と片足とに怪我をしたといって、今もってこれに悩んでいるらしく、彼に憑かれた者は一方の目から目脂を出し、また必ず片足を引きずること、あたかも長篠よりやや南方の牛久保という町を郷里とする、山本勘介と同じであった。それにも何か隠れたる因縁のあるらしいことは、早くから考えているが、自分はまだ十分には合点しえないのである。
また信州の松本付近では、桔梗ヶ原を本拠として玄蕃丞という狐がいた。初めて鉄道がこの平野に通じたころ、汽車にひかれて死んだともいえば、あるいは今でもまだ生きておるともいう。この狐も武田合戦の始末をよく知っていたのみならず、すこぶるこれを人に語りたがったような形がある。