Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans
――店は電燈を一つ残して、あとは消してあったから、広い鉤なりの土間は、月光の遍満している戸外の明るさで、実際よりもうす暗くみえた。――おすみは酒の壜と、蓋物を持って土間の奥から出て来た。草履をつっかけているので、足音は聞えなかった。彼女は手招きをし、少年が近よってゆくと、持っている酒の壜と蓋物を脇へ置き、すばやく少年を抱いて接吻をした。少年はじっとしていた。躯も頭もまっすぐにしたままで、両手は躯に添って垂れていた。おすみはものたりなげに、けれどもすぐに少年からはなれた。
「はいお酒」とおすみは云った、「この中にすずめ焼としぐれ煮がはいってるよ」
少年はその二つを受取って店を出た。
「よういろ男」と初めに呼びかけた男が云った、「今夜は三十二号で逢曳きか」
だが少年は黙って道を横切ってゆき、草履をぬいで小腋にはさみ、渡り板を渡って三十二号船の中へ姿を消した。
彼は三十二号船の見習い水夫であった。年は十七歳、みんなは彼を「銀公」と呼んでいる。銀次というのか銀太というのか、あるいは銀造とでもいうのか、苗字も正しい名もわからない。この土地では一般にそういうことに興味をもつ者はいないようだ。