Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lisez 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 961 caractères · 317 écrans
いまどうしているか、と云おうとしたとき、店の中で網を片づけていた男が、ひょいと私のほうを見上げて答えた。
「長はわたしですよ」
「え、――」と私は息を吸った。
「わたしが長ですよ」とその男はいった。
細おもてに無精髭が少し伸びて、汐やけのした顔に賢そうな眼が光っていた。古タオルで鉢巻をし、仕事着に半長靴をはいていた。これが長太郎か、私は自分の印象にある少年のおもかげを、いま眼の前にいる中年の男の像に重ね合せようとしながら、「蒸気河岸の先生」だが覚えているかと訊いた。
「高品の先生かね」と長が訊き返した。
「いや、高品さんの世話で来たんだ」と私は云った、「あっちの一軒家を借りるまえには、この千本の二階に下宿していたこともあるんだ、君が小学校の二年から三年生ぐらいのときなんだがね」
「さあね」長はあいまいに笑った、「そんなに古いことだとするとな」
「倉なあこはどうしている」
「倉なあこはいるだよ、うん」と云って長は頷いた、「まあおはいんなさい、いまおっ母を呼んでみるだから」
「へえ、まだおばさんがいるのか」
「おやじは死んだけれどおっ母はいんだよ」
長は店の奥へいって、大声に母親を呼んだ。