Classiques japonais avec furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lisez 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 271 caractères · 263 écrans
頭は小さく、眼も小さく、額の著るしく窪んでいるのが人の注意を惹いた。彼等の或者は非常に長い髪を垂れていると伝えられるが、これは殆ど禿頭と云っても可い位で、脳天に僅少ばかりの灰色の毛がちょぼちょぼと生えているのみであった。
鼻は猿のように低かった。耳は狐のように立っていた。口も比較的に小さい方で、黄い口唇から不規則に露出している幾本の長い牙は、山犬よりも鋭く見えた。足の割には手が長く、指は矢はり五本であるが、爪は鉄よりも硬く且尖っていた。手掌の皮が非常に厚く硬いのを見ると、或場合には足の働きもして、四つ這いに歩くらしい。
これが満足で居ても既に此の如き異体の怪物である。況て市郎の為に、最初は靴で額を蹴破られ、次に石を以て真向を打割られ、最後には味方の石に因て顔一面を砕かれたのであるから、肉は砕け、骨は露われて、其の醜、其の怪、実に形容も能ぬ光景であった。人々も之に対しては何とも云うべき詞を知らなかった。
「一体、これは何だろう。猿か知ら、人間か知ら……。」
猿か人間か到底判らぬ、究竟は一種の山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)と云うものであると答えるより他は無かった。