Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Lisez 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 271 caractères · 263 écrans

Aozora Bunko

(十二)

」と、お杉は蝋燭を高くげた。

石室の隅には広い深い岩穴があって、穴の遠い底には、風か水か知らず、ごうごうと微に鳴っていた。若し一歩を誤れば、この暗い地獄の底に葬られねばならぬ。重太郎も足下を覗いて流石に悚然した。

(十二)

お杉は無言で蝋燭を翳すと、深い岩穴の中腹かとも思われる所に、さながら大蛇の眼の如き金色爛々の光を放つものが見えた。

「判ったか。」と、お杉が蝋燭を退けると、穴は旧の闇に復って、金色の光は夢のように消えた。重太郎は呆れて立っていた。

「阿母さん、あれは何だい。」

「何でも可い。いざと云う時に持ち出して他に売れば、お前は金持になれるのだ。」

穴の中では猿のような声で、キキと叫ぶ者があった。

「騒々しい。静にお為よ。」と、お杉は鋭い声で叱り付けると、怪しい声は忽ち止んだ。お杉は再び無言で歩み出すと、重太郎も黙って続いて出た。

二人が旧の入口に出た頃には、山峡の日は早く暮れて、暗い山霧が海のように拡がって来た。重太郎は再び枯木を焚くと、霧は音もせずに手下まで襲って来て、燃える火の光は宛ら紗に包まれたる様に朧になった。

窟の奥から人か猿か判らぬ者が、ちょこちょこと駈け出して来た。