Classiques japonais avec furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lisez 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 271 caractères · 263 écrans
(四十四)
水の音ばかりで無い、日の光も薄く洩れて来た。
路は漸次に明るくなった。暗い湿っぽい岩穴は全く尽きて、人々は大いなる谷川の畔に出た。岩を噛む乱流は大小の滝布を作して、滔々と漲り落ちている。川に沿うて熊笹の藪が生い茂っていた。左右は嶮しい岩山である。※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)は此の間道から山深く逃げ入ったのであろう。
(四十四)
「到頭逃して了った。」
塚田巡査は歯噛をした。微傷ではあるが、其の手首からは血が流れていた。他の二三人も顔や手の傷を眺めながら、失望と疲労との為に霎時は茫然と立っていた。
この時、頭の上で人声がわやわや聞えた。仰げば高き絶壁の上に、大勢の人の行き違う姿が見えた。初めて知る、ここは恰も虎ヶ窟の前に横われる谷底で、頭の上に立騒いでいる人々は、彼の七兵衛や権次の群であった。
斯くと知るや、下からはおういおういと呼んだ。上からも答えた。中にも権次は岩の出鼻に縋りつつ、谷に向って大きな声で叫んだ。
「は何うした、捕ったか。」
「駄目だ、駄目だ。間道から逃げて了った。」と、下でも叫んだ。
「惜いことを為たな。今お医師が来て、角川の小旦那は蘇生ったぞ。