Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Lisez 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 271 caractères · 263 écrans

Aozora Bunko

併し私はただ閑静だと思ったばかりで、別に寂しいとも怖いとも思わず、斯ういう夜の景色は確に一つの画題になると、只管にわが職業にのみ心を傾けて、余念もなく庭を眺めていたが、やがて気が注いて窓を鎖じ、再び寝台の上に横になると、柱時計が恰も二時を告げた。室外の空気に頭を晒していた所為か、重かった頭も大分に軽く清しくなって、胸も余ほど寛いで来たから、そのまま枕に就いて一霎時うとうとと眠ったかと思う間もなく、座敷の中が俄にぱッと明るくなったので、私も驚いて飛び起きる、その途端に何処から来たか知らぬが一個の人かげが、この広い座敷の隅の方からふらふらと現われ出た。

これには私で無くとも驚くだろう、不思議の光、怪しの人影、これは抑も何事であろうと、私は再び床の上に俯伏して、窃かに其の怪しの者の挙動を窺っていると、光はますます明るくなって、人は次第に窓の方へ歩み寄る、其の人は女、正しく三十前後の女、加之も眼眩きばかりに美しく着飾った貴婦人で、するすると窓の側へ立寄って、何か物を投出すような手真似をしたが、窓は先刻私が確に鎖じたのだから、迚も自然に開く