Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lisez 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 312 caractères · 57 écrans
五
こうまくし立てて、平次にも喰ってかかりそうにするのです。
お隣の伊賀屋というのは、小間物などを商う小さい店で、外から奥がまる見えという浅間な住居です。
主人の半兵衛はもう元気で、床の上に坐ったまま、
「いや、飛んだ目に逢いましたよ、あの酒にまさか毒が入って居るとは気がつきませんが、口ざわりが変なのと、私は長崎屋さんなどより酒が弱いので、お蔭で命拾いをしました。――碁は長崎屋さんが一番つよく、私と岡さんは二つくらい置かなきゃなりません、――長崎屋さんの家の中は? さア、そんな事を申すと変ですが、御主人と弟の金之助さんは、あまり仲がよくなかったようで、番頭の友三郎さんも商売は上手でしょうが、ちょっと付き合い憎い人でございます。岡さんは二本差で、武芸も大したものだそうですが、まことに気軽な良い方で、へエ」
小間物屋の伊賀屋半兵衛の話はこんなものでした。
五
それからまた十日あまり経ちました。長崎屋七郎兵衛の初七日も過ぎ、長崎屋の身上は、いかにも捨ておき難い有様に置かれていたので、弟の金之助と、番頭の友三郎と、仲間でもあり、用心棒でもあった、浪人の岡浪之進が相談して、別に江戸には親類縁者もないことでもあり、取敢えず長崎屋の後に娘のお小夜を据え、お小夜に聟を取るまで、叔父の金之助が後見をすることになりました。