Classiques japonais avec furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
「闇に見える※(感嘆符疑問符、1-8-78)」レヴェズ氏は警戒を忘れたように反問した。
法水はそれには答えず、クリヴォフ夫人の方を向いて、
「時に、その詩文が誰の作品だか御存じですか?」
「いいえ存じません」クリヴォフ夫人はやや生硬な態度で答えたが、セレナ夫人は、法水の不気味な暗示に無関心のような静けさで、
「たしか、グスタフ・ファルケの『樺の森』では」
法水は満足そうに頷き、やたらに煙の輪を吐いていたが、そのうち、妙に意地悪げな片笑が泛び上がってきた。
「そうです。まさに『樺の森』です。昨夜この室の前の廊下で、確かに犯人は、その樺の森を見たはずです。しかし、かれ夢みぬ、されど、そを云う能わざりき――なんですよ」
「では、その男は死人の室を、親しきものが行き通うがごとくに、戻っていったと仰言るのですね」とクリヴォフ夫人は、急に燥ぎ出したような陽気な調子になって、レナウの「秋の心」を口にした。
「いえ、滑り行く――なんてどうして、彼奴は蹌踉き行ったのですよ。ハハハハハ」と法水は爆笑を上げながら、レヴェズ氏を顧みて、
「ところでレヴェズさん、勿論それまでには、その悲しめる旅人は伴侶を見出せり――なんでしたからな」