Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
「では法水君、君はいったい何を考えているんだね」とそれまで何ものか期待していた検事は、周囲の積石を調べ歩いて、漆喰にそれらしい破れ目でも見出そうとしていた。が、空しく戻って来ると、法水に鋭く訊ねた。すると、法水は突然窓際へ歩み寄って行き、そこから窓越しに、前方の噴泉を指差して云った。
「ところで、問題と云うのが、あの驚駭噴泉なんだよ。あれは、バロック時代に盛った悪趣味の産物なんだが、あれには水圧が利用されていて、誰か一定の距離に近づく者があると、その側に当る群像から、不意に水煙が上るという装置になっているのだ。ところが、この窓硝子を見ると、まだ生々しげな飛沫の跡が残されている。してみると、きわめて近い時間のうちに、あの噴泉に近づいて、水煙を上げさせたものがなけりゃならない。勿論それだけなら、さして怪しむべき事でもないだろう。ところが、今日は微風もないのだ。そうなると、飛沫がここまで何故に来たか――という疑問が起ってくる。支倉君、それが、また実に面白い例題なんだよ」と続いて云いかけた法水の顔に、みるみる暗影が差してゆき、彼は過敏そうに眼を光らせた。「とにかく、ライプチッヒ派に云わせたら、今日の犯罪状況はきわめて単純なり――と云うところだろう。