Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
しかし、云い終ると何故であろうか、まるで恐ろしい言葉でも待ち設けているように、堅くなってしまった。恐らく、彼女自身でさえも、嘲侮の限りを尽している自分の言葉には、思わず耳を覆いたいような衝動に駆られたことであろう。熊城は唇をグイと噛み締めて、憎々しげに相手を見据えていたが、その時法水の眼に怪しい光が現われて、腕を組んだままズシンと卓上に置いた。そして、いかにも彼らしい奇問を放った。
「ああ、算哲……。あの凶兆の鋤――スペードの王様をですか」
「いいえ、算哲様なら、ハートの王様でございますわ」と伸子は反射的にそう云った後で、一つ大きな溜息をした。
「なるほど、ハートなら、愛撫と信頼でしょうが」と瞬間法水の眼が過敏そうに瞬いたが、「ところで、その告げ口をするという蝙蝠ですが、いったいそれは、どっちの端にいたのですか」
「それが、鍵盤の中央から見ますと、ちょうどその真上でございましたわ」と伸子は躊らわずに、自制のある調子で答えた。
「しかし、その側には、好物の蛾がいたのです。けれどもその蛾が、あくまで沈黙を守っている限りは、よもや残忍な蝙蝠だって、むだに傷つけようとはいたすまいと思いますわ。