Classiques japonais avec furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans
そうそう、その南亜戦争でしたが……」と法水は莨の端をグイと噛み締めて、声音を沈めむしろ怖れに近い色を泛べた。「ところで、メーキンスが編纂した、『南亜戦争軍陣医学集録』という報告集があるのですが、その中に、ほとんど算哲の場合を髣髴とする奇蹟が挙げられているのですよ。それは、格闘中右胸上部に洋剣を刺されたままになっていた竜騎兵伍長が、それから六十時間後に、棺中に蘇生したと云うのです。しかし、編者である名外科医のメーキンスは、それに次のような見解を与えました。――死因は、たぶん上大静脈を洋剣の背で圧迫したために、脈管が一時狭窄されて、それが心臓への注血を激減させたに相違ない。しかし、その鬱血腫脹している脈管は、屍体の位置が異なったりするたびに、血胸血液が流動するので、それがため、一種物理的な影響をうけたのであろう。つまり、その作用と云うのは、往々に屍体の心臓を蘇生させることのある、ある種の摩擦に類したものだったと思われる。何故なら、元来心臓と云うものは理学的臓器であり、また、ブラウンセカール教授の言のごとく、恐らく絶命している間でも、聴診や触診ではとうてい聴き取ることの出来ぬ、細微な鼓動が続いていたに相違ないのだから(巴里大学教授ブラウンセカールと講師シオは、人体の心臓を聞いてそれがなお鼓動を続けていたという