Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 296 741 caractères · 584 écrans

Aozora Bunko

法水は疲れたような眼をして、しばらく考えていたが、ふと何と思ったか、広間の煖炉棚に並んでいる、忘れな壺を持参するように命じた。それは総計二十あまりもあって、すでに故人となり、離れ去った人達のもあるけれど、この館に重要な関係を持った人達には、あまねく作らせて、回想を永遠に止めんがためのものであった。表面には、西班牙風の美麗な釉薬が施されていて、素人の手作りのせいか、どこか形に古拙なところがあった。法水はそれをずらりと卓上に並べて云った。

「あるいは、僕の神経が過敏すぎるのかもしれないがね。しかし、この館のような、精神病理的人物の多い所では、押捺した指痕などというものに信頼を置くと、それがそもそもの間違いになるのだよ。何故なら、ときたま外見に現われない発作があるからね。その時強直なり羸痩なりが起った場合に、僕等はとんでもない錯誤を招かんけりゃならんのだ。しかし、この壺の内側には、必ず平静な状態の時、捺された拇指痕があるに相違ない。熊城君、君は、ここにある壺を巧く割ってくれ給え」

そうして糸底の姓名と対照して割ってゆくうちに、とうとう二つが残されてしまった。