Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

などと聞いた。

私は仕方がないから、母をそのままにしておいて直接父に向かった。父は私の注意を母よりは真面目に聞いてくれた。「もっともだ。お前のいう通りだ。けれども、己の身体は必竟己の身体で、その己の身体についての養生法は、多年の経験上、己が一番能く心得ているはずだからね」といった。それを聞いた母は苦笑した。「それご覧な」といった。

「でも、あれでお父さんは自分でちゃんと覚悟だけはしているんですよ。今度私が卒業して帰ったのを大変喜んでいるのも、全くそのためなんです。生きてるうちに卒業はできまいと思ったのが、達者なうちに免状を持って来たから、それが嬉しいんだって、お父さんは自分でそういっていましたぜ」

「そりゃ、お前、口でこそそうおいいだけれどもね。お腹のなかではまだ大丈夫だと思ってお出のだよ」

「そうでしょうか」

「まだまだ十年も二十年も生きる気でお出のだよ。もっとも時々はわたしにも心細いような事をおいいだがね。おれもこの分じゃもう長い事もあるまいよ、おれが死んだら、お前はどうする、一人でこの家にいる気かなんて」

私は急に父がいなくなって母一人が取り残された時の、古い広い田舎家を想像して見た。