Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

三十

いきおい先生は少し後れがちになった。先生はあとから「おいおい」と声を掛けた。

「そら見たまえ」

「何をですか」

「君の気分だって、私の返事一つですぐ変るじゃないか」

待ち合わせるために振り向いて立ち留まった私の顔を見て、先生はこういった。

三十

その時の私は腹の中で先生を憎らしく思った。肩を並べて歩き出してからも、自分の聞きたい事をわざと聞かずにいた。しかし先生の方では、それに気が付いていたのか、いないのか、まるで私の態度に拘泥る様子を見せなかった。いつもの通り沈黙がちに落ち付き払った歩調をすまして運んで行くので、私は少し業腹になった。何とかいって一つ先生をやっ付けてみたくなって来た。

「先生」

「何ですか」

「先生はさっき少し昂奮なさいましたね。あの植木屋の庭で休んでいる時に。私は先生の昂奮したのを滅多に見た事がないんですが、今日は珍しいところを拝見したような気がします」

先生はすぐ返事をしなかった。私はそれを手応えのあったようにも思った。また的が外れたようにも感じた。仕方がないから後はいわない事にした。すると先生がいきなり道の端へ寄って行った。そうして綺麗に刈り込んだ生垣の下で、裾をまくって小便をした。