Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
十四
しかし相手の方はかえって平気でした。これが琴を浚うのに声さえ碌に出せなかったあの女かしらと疑われるくらい、恥ずかしがらないのです。あまり長くなるので、茶の間から母に呼ばれても、「はい」と返事をするだけで、容易に腰を上げない事さえありました。それでいてお嬢さんは決して子供ではなかったのです。私の眼にはよくそれが解っていました。よく解るように振舞って見せる痕迹さえ明らかでした。
十四
「私はお嬢さんの立ったあとで、ほっと一息するのです。それと同時に、物足りないようなまた済まないような気持になるのです。私は女らしかったのかも知れません。今の青年のあなたがたから見たらなおそう見えるでしょう。しかしその頃の私たちは大抵そんなものだったのです。
奥さんは滅多に外出した事がありませんでした。たまに宅を留守にする時でも、お嬢さんと私を二人ぎり残して行くような事はなかったのです。それがまた偶然なのか、故意なのか、私には解らないのです。私の口からいうのは変ですが、奥さんの様子を能く観察していると、何だか自分の娘と私とを接近させたがっているらしくも見えるのです。それでいて、或る場合には、私に対して暗に警戒するところもあるようなのですから、始めてこんな場合に出会った私は、時々心持をわるくしました。