Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
十六
けれども私に取ってその墓は全く死んだものであった。二人の間にある生命の扉を開ける鍵にはならなかった。むしろ二人の間に立って、自由の往来を妨げる魔物のようであった。
そうこうしているうちに、私はまた奥さんと差し向いで話をしなければならない時機が来た。その頃は日の詰って行くせわしない秋に、誰も注意を惹かれる肌寒の季節であった。先生の附近で盗難に罹ったものが三、四日続いて出た。盗難はいずれも宵の口であった。大したものを持って行かれた家はほとんどなかったけれども、はいられた所では必ず何か取られた。奥さんは気味をわるくした。そこへ先生がある晩家を空けなければならない事情ができてきた。先生と同郷の友人で地方の病院に奉職しているものが上京したため、先生は外の二、三名と共に、ある所でその友人に飯を食わせなければならなくなった。先生は訳を話して、私に帰ってくる間までの留守番を頼んだ。私はすぐ引き受けた。
十六
私の行ったのはまだ灯の点くか点かない暮れ方であったが、几帳面な先生はもう宅にいなかった。「時間に後れると悪いって、つい今しがた出掛けました」といった奥さんは、私を先生の書斎へ案内した。