Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
十七
私が厠へ行こうとして席を立った時、廊下で行き合った兄は「どこへ行く」と番兵のような口調で誰何した。
「どうも様子が少し変だからなるべく傍にいるようにしなくっちゃいけないよ」と注意した。
私もそう思っていた。懐中した手紙はそのままにしてまた病室へ帰った。父は眼を開けて、そこに並んでいる人の名前を母に尋ねた。母があれは誰、これは誰と一々説明してやると、父はそのたびに首肯いた。首肯かない時は、母が声を張りあげて、何々さんです、分りましたかと念を押した。
「どうも色々お世話になります」
父はこういった。そうしてまた昏睡状態に陥った。枕辺を取り巻いている人は無言のまましばらく病人の様子を見詰めていた。やがてその中の一人が立って次の間へ出た。するとまた一人立った。私も三人目にとうとう席を外して、自分の室へ来た。私には先刻懐へ入れた郵便物の中を開けて見ようという目的があった。それは病人の枕元でも容易にできる所作には違いなかった。しかし書かれたものの分量があまりに多過ぎるので、一息にそこで読み通す訳には行かなかった。私は特別の時間を偸んでそれに充てた。
私は繊維の強い包み紙を引き掻くように裂き破った。