Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

私はお嬢さんの顔を見るたびに、自分が美しくなるような心持がしました。お嬢さんの事を考えると、気高い気分がすぐ自分に乗り移って来るように思いました。もし愛という不可思議なものに両端があって、その高い端には神聖な感じが働いて、低い端には性欲が動いているとすれば、私の愛はたしかにその高い極点を捕まえたものです。私はもとより人間として肉を離れる事のできない身体でした。けれどもお嬢さんを見る私の眼や、お嬢さんを考える私の心は、全く肉の臭いを帯びていませんでした。

私は母に対して反感を抱くと共に、子に対して恋愛の度を増して行ったのですから、三人の関係は、下宿した始めよりは段々複雑になって来ました。もっともその変化はほとんど内面的で外へは現れて来なかったのです。そのうち私はあるひょっとした機会から、今まで奥さんを誤解していたのではなかろうかという気になりました。奥さんの私に対する矛盾した態度が、どっちも偽りではないのだろうと考え直して来たのです。その上、それが互い違いに奥さんの心を支配するのでなくって、いつでも両方が同時に奥さんの胸に存在しているのだと思うようになったのです。