Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
私はどういう拍子かふと奥さんが、叔父と同じような意味で、お嬢さんを私に接近させようと力めるのではないかと考え出したのです。すると今まで親切に見えた人が、急に狡猾な策略家として私の眼に映じて来たのです。私は苦々しい唇を噛みました。
奥さんは最初から、無人で淋しいから、客を置いて世話をするのだと公言していました。私もそれを嘘とは思いませんでした。懇意になって色々打ち明け話を聞いた後でも、そこに間違いはなかったように思われます。しかし一般の経済状態は大して豊かだというほどではありませんでした。利害問題から考えてみて、私と特殊の関係をつけるのは、先方に取って決して損ではなかったのです。
私はまた警戒を加えました。けれども娘に対して前いったくらいの強い愛をもっている私が、その母に対していくら警戒を加えたって何になるでしょう。私は一人で自分を嘲笑しました。馬鹿だなといって、自分を罵った事もあります。しかしそれだけの矛盾ならいくら馬鹿でも私は大した苦痛も感ぜずに済んだのです。私の煩悶は、奥さんと同じようにお嬢さんも策略家ではなかろうかという疑問に会って始めて起るのです。