Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

それから……」

「それから、まだあるんですか」

「まだあるというほどの理由でもないが、以前はね、人の前へ出たり、人に聞かれたりして知らないと恥のようにきまりが悪かったものだが、近頃は知らないという事が、それほどの恥でないように見え出したものだから、つい無理にも本を読んでみようという元気が出なくなったのでしょう。まあ早くいえば老い込んだのです」

先生の言葉はむしろ平静であった。世間に背中を向けた人の苦味を帯びていなかっただけに、私にはそれほどの手応えもなかった。私は先生を老い込んだとも思わない代りに、偉いとも感心せずに帰った。

それからの私はほとんど論文に祟られた精神病者のように眼を赤くして苦しんだ。私は一年前に卒業した友達について、色々様子を聞いてみたりした。そのうちの一人は締切の日に車で事務所へ馳けつけて漸く間に合わせたといった。他の一人は五時を十五分ほど後らして持って行ったため、危く跳ね付けられようとしたところを、主任教授の好意でやっと受理してもらったといった。私は不安を感ずると共に度胸を据えた。毎日机の前で精根のつづく限り働いた。でなければ、薄暗い書庫にはいって、高い本棚のあちらこちらを見廻した。