Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
――尻尾に火のついたきちがい猫。
次郎吉のあとを追いながら、与平の云った言葉を思いだしたが、可笑しさよりも相手の卑怯さ、めめしさに肚が立つだけであった。中庭は暗く、向うの見張所の障子が、灯をうつしてぼんやり明るくなっている。次郎吉はそこへ駆け込むつもりだったのだろうが、途中で松田権蔵に捉まってしまった。
「助けて下さい」と次郎吉の泣き声で訴えるのが聞えた、「あっしはみんなに野詰めにされます、どうか匿っておくんなさい」
そこへ栄二が駆け寄った。そこまで来て初めて、次郎吉を捉まえているのが赤鬼だとわかり、栄二は両手を拳にして立停った。
「この男を野詰めにするそうだな」と松田はしゃがれ声で云った、「――ずいぶん大勢いるようだが、それだけの人数でなければ、こんな男の始末ができねえのか」
「その男を渡して下さい」と栄二が云った、「相手はあっし一人、ほかの者は見に来ただけです」
「きさまはぶしゅうだな」と松田が云った、「こいつにどんな恨みがあるんだ」
「あんたの知ったこっちゃあねえ」栄二は低い声できっぱりと云った、「そいつをこっちへ渡して下さい」
そして彼は次郎吉にとびかかった。