Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate

Aozora Bunko

そのさまに、こりゃたまらぬ! と馬鹿を見た源十郎、

「その女、しばらく預けておくとしよう」

捨てぜりふとともに袂をたたいて、ぶらりと当り矢の店を出て行った。

おなじ時刻に。

夜も昼もない常闇の世界。

八つ下りの陽がかんかん照りつけるのに、乾割れの来そうな雨戸をぴったりとしめきって、法恩寺まえの鈴川の屋敷では丹下左膳がいびきをかいていた。

茶室めかした六畳の離庵。

足の踏み立て場もなくちらかしたまん中に、四布蒲団の柏餅から毛脛を二本投げ出して、夜出歩く左膳はこうして昼眠っているのだ。

垢とあぶらに重くにごった室内に、板の隙を洩れる細い光線がふしぎな縞を織り出している。

あの夜――乾雲丸を手に入れて以来、栄三郎の坤竜を気に病む左膳ではないが、何者かに憑かれ悩んでいるらしかった。癖せた身体がいっそう骨張って、食もほそり、酒さえすすまぬ案山子のような姿で夜ごと曙の里あたりを徘徊するのが見られたが、主を失った鉄斎道場の門は固くしまって弥生のゆくえはどことも知れなかった。

大主にふくめられた秘旨は忘れぬ。またお藤のなさけも感ぜぬではないが、あの娘は仕合に勝って取ったのだと思うと、咲きほこる海棠のような弥生の姿が、四六時中左膳の隻眼にちらつく――恋の丹下左膳。