Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

「もうしばらく……」

と、縁先へ戻って来ては、鍛冶小屋の仕事ぶりを伝えていた。

その間に、小六は、自分の部屋に大の字なりになって昼寝していた。新七も、夜来のつかれが出て、ついうとうとと居眠っていると、突然、

「にッ、にげたッ。新七どの! 逃げたッ。き、来てくれッ」

と、庭先から、誰か喚いた。新七はびっくりして、裸足のまま飛び出すと、番に付けておいた小者の一人が、

「お、甥御様が、後の二人を斬り仆して、に、逃げ出しましたッ」

と、まるで粘土のような青い顔して、舌の根もうわの空に、告げるのだった。

「えッ。逃げたと」

のめるように、新七は、その番人と共に、駈け出して行きかけたが、振り向いて、

「お頭目ッ。お頭目ッ。――甥御の天蔵どのが、番の者を斬りすてて、逃げたと申しますぞッ。天蔵どのが逃げましたぞ」

ふた声ほど、呶鳴った。

蝉しぐれに包まれた母屋の一室で、快げに昼寝していた小六は、

「なに!」

がばと、起き上がるなり、眠る間も抱いていた刀をそのまま小脇に、横縁から飛び下りて、もう新七のすぐ後に続いて駈けていた。

――来てみると。

さっき天蔵を縛り付けておいた木に、天蔵のすがたはなく、ただ木の根がたに、一筋の麻縄が、解き棄ててあるばかり。