Classici giapponesi con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Leggi 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 337.181 caratteri · 676 schermate
『ふム……』
『妙な……とおもっていると、読めたのだ。矢頭右衛門七が時々来ている。その右衛門七を見て、いつのまにか、好きになっているらしい』
『右衛門七を。……成る程、右衛門七は、美麗だからな』
『ところが、如何にせん、あの純情。おまけに、右衛門七がまだ十七歳、女が十八。折角、程よくして、きょうもやっと、二階にまでは上げてあるが、どうも、右衛門七では手が施せまいと思うているのだ』
『それはいい緒口だ。逃がしてはならない小鳥、うまく、籠に馴らしたいが……』
『と云って、こればかしは、身代りができぬし、手伝いもいたしかねる』
『はははは』
思わず五兵衛が笑ったので、
『叱っ』
眼で云って、わざと、
『おう、暗くなりかけた。そろそろ行燈の支度でもするかな』
店と奥の境の袋戸をのぞいて、行燈を出しかけた。
五兵衛も、畳に白く糠の跡を残して台所へ立ちながら、
『どうも旦那、御馳走になりました。――ちと、お閑を見て、晩にでも私共へも、お話しにおいでなすって』
と、草履を穿きかけた。
するとその時、どんどんどんと梯子段を落ちて来るように迅い跫音が響いた。五兵衛は、腰障子につかまった儘、思わず奥を覗き返した。