Classici giapponesi con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Leggi 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 337.181 caratteri · 676 schermate
付人平八郎
『背後を見する敵とも見えぬに、待てっ、待てっ、これは浅野家の旧臣、不破数右衛門、不足はない相手だぞ』
雪と、泥と、血と、満身に浴びた一箇の夜叉が、しゃがれ声をふりしぼって、平八郎へ太刀風を投げた。
『死にたいかっ』
振り顧って、彼は、数右衛門の刃を胸の前に空を打たせた。数右衛門は、踵をあげて台所口の竹雨樋をカッと斬った。
ぐわらっと数百本の剣にも似た廂の氷柱が砕けてくる。数右衛門は敵の前に背を曝したのであったが、その背に当ったのは、氷柱であって、平八郎の切っ先は、彼の兜頭巾の錣を斬って、肩の辺りでカチンと刎ねた。
鎖襦袢が肌を守っていなかったら、数右衛門の肩は削ぎ落されていたに違いない。すさまじい刃の力だった。内へ徹らなかったにせよ、数右衛門は肩骨から背ぼねへかけて、ずーんと痛むような響きを感じた。
刃と刃がささらになる程、二人は人交ぜもせず斬り結んでいた。数右衛門も一党のうちでは、据物斬の上手と折紙されている男なのである。平八郎とてもまた、上杉家から選ばれて来ている多くの附人の中では、腕に於ては達人、人間としても、剛健で誠実と誰も認めていた人物だった。