Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

ました。

「御出座!」

右と左と、豊後、主水之介、ふたりの姿がはッと平伏したのと一緒に、ちょこちょこと出て来たのは赤白まだらの犬です。お犬公方様またなき御愛犬と見えて、お守役のお城小姓がふたり。

「五位さま、こちらこちら。お席はここでござります」

変哲もない只の犬だが、八百万石御寵愛の犬とあってはこれも御威光広大、位も五位と見えて、尾の長い五位さまがいとも心得顔に、将軍家お褥のかたわらへちょこなんと坐ったところへ、荒々しいたたみの音がつづいて、お犬公方綱吉公のけわしい顔が現れました。

同時です。

「不所存者めがッ。どの顔さげて参った!」

はぜるような雷声が、主水之介の頭上へ落ちかかりました。

よくよく御癇癖が募っているとみえるのです。それっきり、褥を取ろうともせずに立ちはだかったまま、じりじりとしていられたが、意外なところへさらに大きな飛び雷が落ちました。

「豊後も何じゃ! うつけ者めがッ」

「はッ」

「は、ではない! このざまは何のことじゃ! なぜ、なぜ、――なぜ主水之介を生かして連れおった!」

思いもよらぬ御諚です。

主水之介は、はッとなりました。おそらく首にして連れいとの御内命があったに相違ない。