Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
彼は阿武隈川(あぶくまがわ)の辺(ほとり)で送った自分の幼少(ちいさ)い時を考えた。学生時代を考えた。岩沼にある自分の生れた旧い家を考えた。田舎医者としては可成(かなり)大きく門戸を張っている父のことや、今度出て来るという妹と彼と二人だけ産んだ先(せん)の母のことや、それから多勢ある腹違いの弟、妹のことなどを考えた。
二度目の母に対しては、どちらかと言えば彼は冷淡で、別にそう邪魔にも思わなければ、無論難有(ありがた)くも思っていない。唯彼は妹と違って、腹違いの弟妹(きょうだい)がズンズン成長(しとな)って行くところを黙って視(み)てはいられなかった。
妹は女学生時代から男性(おとこ)のような娘だった。我儘(わがまま)なかわりに継母でも誰でも関(かま)わず叱(しか)り飛ばすという気性だ。総領の山本さんには、その真似(まね)は出来なかった。こういう妹の許(ところ)へ、相応な肩書のある医者の養子が来た。腹違いの一番年長(うえ)の弟、これも今では有望な医学士だ。山本さんだけは別物で、どうしても父の業を継ぐ気が無かった。
山本さんが家を出て朝鮮から満洲の方へ行って了ったのは、丁度彼が二十五の年だ。