Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
岩石の間
懐古園の城門に近く、桑畠の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢った。二人は塾の方で毎朝合せている顔を合せた。
大尉は塾の小使に雇ってある男を尋ね顔に、
「音はどうしましたろう」
「中棚の方でしょうよ」桜井先生が答えた。
中棚とはそこから数町ほど離れた谷間で、新たに小さな鉱泉の見つかったところだ。
浅間の麓に添うた傾斜の地勢は、あだかも人工で掘割られたように、小諸城址の附近で幾つかの深い谷を成している。谷の一つの浅い部分は耕されて旧士族地を取囲いているが、その桑畠や竹薮を背にしたところに桜井先生の住居があった。先生はエナアゼチックな手を振って、大尉と一緒に松林の多い谷間の方へ長大な体躯を運んで行った。
谷々は緑葉に包まれていた。二人は高い崖の下道に添うて、耕地のある岡の上へ出た。起伏する地の波はその辺で赤土まじりの崖に成って、更に河原続きの谷底の方へ落ちている。崖の中腹には、小使の音吉が弟を連れて来て、道をつくるやら石塊を片附けるやらしていた。音吉は根が百姓で、小使をするかたわら小作を作るほどの男だ。その弟も屈強な若い百姓だ。
兄弟の働いている側で先生方は町の人達にも逢った。