Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
四
なさるのでした。
御祝の宴がありましたから、旦那様の御帰は遅くなりました。外で旦那様が鼻の高かった日も、内では又た寂しい悲しい日でした。旦那様は酒臭い呼吸を奥様の御顔に吹きかけて置いて、直ぐ御二階の畳の上に倒れて御了いなすったのです。
その夜から御床も別々に敷べました。
四
手桶を提げて井戸に通う路は、柿の落葉で埋まった日もあり、霜溶のぐちゃぐちゃで下駄の鼻緒を切らした日もあり、夷講の朝は初雪を踏んで通いました。奥様から頂いて穿いた古足袋の爪先も冷くなって、鼻の息も白く見えるようになれば、北向の日蔭は雪も溶けずに凍る程のお寒さ。
十二月の十日のこと、珍しい御客様を乗せた一輌の人力車が門の前で停りました。それは奥様の父親様が東京から尋ねていらしったのです。思いがけないのですから、奥様は敷居に御躓きなさる程でした。旦那様も早く銀行から御帰りになる、御二人とも御客様の御待遇やら東京の御話やらに紛れて、久振で楽しそうな御笑声が奥から聞えました。奥様の御喜悦は、まあ何程で御座ましたろう、――その晩は大した御馳走でした。
御客様は金銭上の御相談が主で、御来遊になりましたような御様子。