Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
仏蘭西語の話をする時ほど、学士の眼は華やかに輝くことはなかった。
やがて高瀬はこの家に学士を独り残して置いて、相生町の通りへ出た。彼が自分の家まで歩いて行く間には、幾人となく田舎風な挨拶をする人に行き逢った。長い鬚を生した人はそこにもここにも居た。
休みの日が来た。
高瀬が馬場裏の家を借りていることは、最早仮の住居とも言えないほど長くなった。彼は自分のものとして自由にその日を送ろうとした。
南の障子へ行って見た。濡縁の外は落葉松の垣だ。風雪の為に、垣も大分破損んだ。毎年聞える寂しい蛙の声が復た水車小屋の方からその障子のところへ伝わって来た。
北の縁側へ出て見た。腐りかけた草屋根の軒に近く、毎年虫に食われて弱って行く林檎の幹が高瀬の眼に映った。短い不恰好な枝は、その年も若葉を着けた。微かな甘い香がプンと彼の鼻へ来た。彼は縁側に凭れて、五月の日のあたった林檎の花や葉を見ていたが、妻のお島がそこへ来て何気なく立った時は、彼は半病人のような、逆上せた眼付をしていた。
「なんだか、俺は――気でも狂いそうだ」
と串談らしく高瀬が言うと、お島は縁側から空を眺めて、