Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
「いやよ、あんな老爺染た人は――戯けないでさ。真実に言って御覧」
私はそれから、種々なお方を数えて申しました。島屋の若旦那、越後屋の御総領、三浦屋の御次男、荒町の亀惣様、本町の藤勘様――いずれ優劣のない当世の殿方ですけれど、成程奥様の御話を伺って見れば、たとえ男が好くて持物等の嗜も深く、何をさせても小器用なと褒められる程の方でも、物事に迷易くて毎も愚痴ばかりでは頼甲斐のない様にも有、世智賢くて痒いところまで手の届く方は又た女を馬鹿にしたようで此方の欠点まで見透されるかと恐しくもあるし、気前が面白ければ銭遣が荒く、凝性なれば悟過ぎ、優しければ遠慮が深し、この方ならばと思うような御人は弱々しくて、さて難の無い御方というのは、見当らないのでした。
「そんなら、奥様、あの桜井さんは」
「そうお前のように、私にばかり言わせて……お前も少許言わなくちゃ狡猾いよ。あの方をお前はどう思うの」
「桜井さんで御座いますか。実に歯医者なぞをさして置くのは惜しいッて、人が申すんで御座いますよ」
「ホホホホホ、それじゃ何に御成なされば好と言うの」
「あの、官員様にでも……」
「ホホホホホ」