Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
茶店の片隅には四五人の若い給仕女が集って小猫を相手に戯れていた。時々高い笑声が起る。小猫は黒毛の、眼を光らせた奴で、いつの間にか二人の腰掛けている方へ来て鳴いた。やがて原の膝の上に登った。
「好きな人は解るものと見えるね」と相川は笑いながら原が小猫の頭を撫でてやるのを眺めた。
「それはそうと、原君、長く田舎に居て随分勉強したろうね」
「僕かい」と原は苦笑して、「僕なぞは別に新しいものを読まないさ。此頃も英吉利の永田君から手紙が来たがね、お互いにチョン髷党だッて――」
「そう謙遜したものでもなかろう。バルザックやドウデエなぞを読出したのは、君の方が僕より早いぜ――見給え」
「あの時分は夢中だった」と原は言消して、やがて気を変えて、「君こそ勉強したろう。君は大陸通だ、という評判だ」
「大陸通という程でも無いがね、まあ露西亜物は大分集めた」と相川は思出したように、「この節、復たツルゲネエフを読出した。晩年の作で、ホラ、「ヴァジン・ソイル」――あれを会社へ持って行って、暇に披けて見てるが、ネズダノオフという主人公が出て来らあね。何だかこう自分のことを書いたんじゃないか、と思うようなところがあるよ」