Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
大塚さんは全く子が無いでは無い。一人ある。しかも今では音信不通な人に成っている。その人は大塚さんがずっと若い時に出来た子息で、体格は父に似て大きい方だった。背なぞは父ほどあった。大塚さんがこの子息におせんを紹介した時は、若い母の方が反って年少だった。
湯島の家の方で親子揃って食った時のことが浮んで来た。この同じ食卓があの以前の住居に置いてある。青蓋の洋燈が照している。そこには嫁いて来たばかりのおせんが居る。彼女のことを「おせんさん、おせんさん」と親しげには呼んでも、決して「母親さん」とは言わなかった彼の子息が居る……尤も、その頃から次第に子息は家へ寄付かなく成って行ったかとも思われる。
食事の済む頃に、婆さんは香ばしく入れた茶と、干葡萄を小皿に盛って持って来て、食卓の上に置いた。それを主人に勧めながら、お針に来ている婦の置いて行ったという話をした。
「あの人がそう申しますんですよ。是方の旦那様も奥様を探して被入しゃる御様子ですが、丁度好さそうな人が御座いますとかッて。聞き込んだ筋が好いそうでして……なんでも御家は御寺様だそうで御座いますよ……その方はあんまり御家の格が好いものですから、それで反って御嫁に行き損って御了いなすったとか。