Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
「今年は、めた水に祟る歳だのう、こないだも工女が二人河へ入って死んだというのに、復、こんなことがある」「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏」「オイ何だい、情死かね」「情死じゃアねえが、大方痴戯の果だろうよ」「いや、菊屋のかみさんが残酷からだ、以前もあそこの下女で井戸へ飛んだ者がある」などと言騒いでおります。死骸を担いだ人々が坂を上って来るにつれて、おつぎさんということは確に成りました。おつぎさん――ホラ、春雨あがりの日に井戸端で行逢って、私に調戯って通った女が有ましたろう。その時、私が水を掛ける真似をしたら、「好御主人を持って御仕合」と言って、御尻を叩いて笑った女が有ましたろう。
丁度、日の光が灰色な雲の間から照りつけて、相生町通の草屋根の雪は大な塊になって溶けて落ちました。積った雪は烈しい光を含んで、ぎらぎら輝きましたから、目も羞明しく痛い位、はっきり開いて見ることも出来ませんのでした。白く降埋んだ往来には、人や馬の通る痕が一条赤く染いている――その泥交りの雪道を、おつぎさんの凍った身体は藁蓆の上に載せられて、巡査小吏なぞに取囲まれて、静に担がれて行きました。